新規事業の立ち上げや事業拡大の際に活用できる「新事業進出補助金」。
近年、エステサロン業界は、美容・健康志向の高まりを背景に市場規模を拡大し続けています。
特に、新たな技術やサービスを取り入れた高付加価値型のエステサロンの需要が増えており、新規開業や業態転換を検討している企業や個人も増えています。
しかし、「エステサロンは新事業進出補助金の補助対象になるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言うと、新事業進出補助金を活用してエステサロンを開業・運営することは可能です。
ただし、単なるエステサロン運営ではなく、「新市場進出」や「高付加価値化」が求められます。
本記事では、新事業進出補助金を活用したエステサロン開業のポイントや、採択事例について詳しく解説します。
エステサロン市場の成長とビジネスチャンス
日本国内のエステ市場はコロナ禍で厳しい状況にあったものの、底打ちの気配を見せています。
2023年度の市場規模は約3,139億円と推計されており、レディース関連が厳しい状況にあったものの、他の市場では堅調でした。(出典:矢野経済研究所)。
特に、以下の分野において高い成長が見込まれています。
- メンズエステ市場の成長:2023年度の市場規模は162億円(前年比102.5%成長)。近年、男性の美容意識が高まっており、今後も拡大が予想される。
- 医療エステ(メディカルエステ):美容皮膚科と提携し、高度なスキンケア・アンチエイジング施術を提供。美容医療の発展により、特に都市部での需要が増加中。
- ウェルネス×エステ:リラクゼーションや健康増進を目的としたエステが増加し、特に50代以上の女性をターゲットとしたサロンが成功しやすい。
既存のレディースエステが縮小傾向にあったものの、メンズエステを中心に新たな需要が近年うまれつつあります。
このような市場環境を考慮すると、新たなサービスを展開するエステサロンの進出は大きなビジネスチャンスとなります。
新事業進出補助金とは?エステサロンも補助対象の可能性
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
---|---|---|
従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
---|
建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
採択率は低めに予想されている難易度が高い補助金となりますが、チャレンジする価値は十分にあるでしょう。
補助対象経費
新事業進出補助金では主に下記の経費が具体的に補助対象経費となると思われます。
- 設備投資費用(エステ機器・美容機器の導入)
- 建物改装費(サロンの内装・設備整備)
- システム構築費(オンライン予約・CRMシステム)
- クラウドサービス利用費(顧客管理システムなど)
- 知的財産権等関連経費(独自施術技術の特許取得など)
- 広告宣伝・販売促進費(マーケティング・ブランディング)
- 外注費(ウェブサイト制作、PR動画制作)
エステサロンの採択事例
新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金では下記のような採択事例がありました。
1. 総合美容
- 事業計画名:お悩み解決、心身を綺麗にする総合美容
- 概要:既存の美容室を改修し、エステ・リラクゼーション部門を新設。高齢者向けフェイシャルケアやリラクゼーションサービスを導入し、新たな客層を開拓。
2. 地元に特化した脱毛サロン
- 事業計画名:脱毛サロンの開業で、新たに近隣住民を取り込んでいく!
- 概要:地元住民をターゲットにした安心・安全な脱毛サロンを開業。特に、50代~70代の男女向けに特化し、新たな需要を創出。
3. 広告業界へ事業展開
- 事業計画名:屋外LEDビジョン広告業への新事業展開による地元企業の活性化
- 概要:エステサロンと提携し、美容・健康関連の広告配信事業を展開。エステ業界向けのデジタルプロモーションを強化。
エステサロンが補助対象となる理由
1. 新市場・高付加価値事業としての展開が可能
新事業進出補助金は、単なるエステサロン開業ではなく、新しい市場や高付加価値事業への進出を支援する補助金です。
例えば、
- 医療提携型エステサロン(美容医療との連携)
- ウェルネス×エステサロン(リラクゼーションと健康増進を融合)
- パーソナライズ美容サービス(AI・データ活用のカスタマイズ施術)
2. 他業種とのシナジーが生まれやすい
エステ業界は、他の業種と組み合わせやすい特徴があります。
- フィットネス×エステ(トレーニングとボディケアを融合)
- ヘルスケア×エステ(メディカルエステ、リハビリエステ)
- 観光×エステ(インバウンド向け高級スパ・リゾートエステ)
3. 事業再構築補助金でも補助対象だった
新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金では、エステサロン事業も補助対象として認められていました。
そのため、新事業進出補助金でも補助対象となる可能性が高いと考えられます。
まとめ
- 新事業進出補助金は、新市場・高付加価値事業への進出を支援する補助金であり、エステサロンも対象となる可能性が高い。
- エステ市場は拡大しており、特にメンズエステ市場は前年比102.5%の成長を記録。医療エステやウェルネス系エステも需要増。
- 補助率は1/2で、最大9,000万円の補助が受けられるため、事業規模に応じた活用が可能。
- 採択のポイントは、新市場進出や高付加価値化を意識し、医療提携・デジタル化・インバウンド対応など新たな価値を提供すること。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
こちらよりご相談ください。
ものづくり補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
事業再構築補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。