新事業進出補助金

新事業進出補助金とは?補助金額や補助率、対象経費を解説

新事業進出補助金とは?補助金額や補助率、対象経費を解説

補正予算に関する審議が本格的にはじまっており、来年度の中小企業に対する支援についても議論されています。
その中で注目すべき補助金として新事業進出補助金というものがでてきました。
ポスト事業再構築補助金といわれており、新規事業を考えている方にとっては注目の補助金と言えるでしょう。
そこで今回は新事業進出補助金とはどんな補助金なのかを予想していきます。(2024年12月23日更新)

新事業進出補助金とは?

新事業進出補助金はポスト事業再構築補助金として2025年最も注目されている補助金の一つです。

既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
まだ細かい情報などは出ていないものの、予算が1,500億円とものづくり補助金を超える規模での予算が組まれています。
新規事業を考えている方はぜひ検討しておきたい補助金であるといえるでしょう。

新事業進出補助金については下記のとおり、中小企業関連の官公庁から資料が公開されています。

(中小企業新事業進出促進事業 独立行政法人 中小企業基盤整備機構)

 

令和6年度補正予算案 中小企業庁

また公募要領案として「「中小企業新事業進出促進事業」に係る事務局の公募要領(案)」が公開されていますので、必ず確認しておきたいところです。

新事業進出補助金の補助額や補助率は?

新事業進出補助金の補助額や補助率は下記の通りです。

補助上限金額

  • 従業員数20人以下:750万円以上2500万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は3000万円以下)
  • 従業員数21~50人:750万円以上4000万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は5000万円以下)
  • 従業員数51~100人:750万円以上5500万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は7000万円以下)
  • 従業員数101人以上:750万円以上7000万円以下(大幅賃上げ特例適用事業者の場合は9000万円以下)

事業終了時点で①事業場内最低賃金+50 円、②給与支給総額+6%を達成の場合、補助上限額を上乗せ。上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。

補助率

1/2

採択件数

約6,000件

採択率

30%~40%程度と予想

補助上限金額が予想よりも高かったため、採択件数は少なくなる見込みです。

新事業進出補助金の補助対象者は?

新事業進出補助金は公募要領(案)の中には下記の通り記載があります。

(1)企業の成長・拡大に向けた新規事業※への挑戦を行うこと
※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること
(2)補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率 4.0%以上増加、又は従業員
一人当たり付加価値額の年平均成長率 4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定す
ること
(3)補助事業終了後3~5年の間、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内
で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金より 30 円以上高い水準とすること
(4)補助事業終了時点までに、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計
画を公表等していること
※その他、賃上げ要件を規定する予定

ポイントとなりそうな(1)企業の成長・拡大に向けた新規事業※への挑戦を行うことについては細かい要件はまだ公開されていません。
おそらく、事業再構築補助金の新事業進出要件と似た要件になるのではと考えられています。
新事業進出は、中小企業が新たな製品を製造し、新たな市場に進出することで、経済的な拡大を図る手法です。これは、主たる業種や事業を変更することなく、既存の製品ラインナップに新たな製品を加え、新しい顧客層を獲得することを目指す類型となります。

新事業進出を評価するための要件としては、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高10%要件」の3つがあります。

  1. 製品等の新規性要件:新たに製造される製品や提供されるサービスは、既存のものとは異なる新規性が必要です。商品やサービスの提供方法を変更することもこれに該当します。
  2. 市場の新規性要件:新事業進出は、新たな市場への進出を前提としています。すなわち、新規に製造される製品や提供されるサービスは、これまでとは異なる新たな市場に向けられる必要があります。
  3. 売上高10%要件:新事業進出における計画期間(通常3~5年)後には、新たな製品の売上高が全体の売上高の10%以上(または総付加価値額の15%以上)を占めることが求められます。

おそらく新事業進出補助金は上記の要件をベースになることが考えらえます。

新事業進出補助金の予算は1,500億円か

新事業進出補助金の予算は資料には1,500億円とされています
令和6年度の中小企業生産性革命推進事業(ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金)の総額の予算は約3,400億円であり、ものづくり補助金は平成25年から令和元年ごろまで予算が約1,000億円であったことから、新事業進出補助金はものづくり補助金と同等・やや上の補助金なのではないかと予想されます。

新事業進出補助金の補助対象経費は?

補助対象経費は、新事業進出に必要な設備投資や事業運営費が幅広く含まれています。
詳細は下記の通り。

1. 建物費(確定)

もっとも注目すべき経費は建物費と言えるでしょう。
建物費は金額が大きく、汎用性が高いため、事業再構築補助金のときも注目されていた経費です。
具体的には下記の経費が補助対象となる可能性が高いです。

  • 事務所や工場など、新事業のための建設費用。
  • 建物改修や増築費用も対象となる見込み。
  • ※ただし、土地購入費は対象外の可能性。
  • 新築も補助対象外となる可能性がある

建物費については下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

新事業進出補助金は建物費・建設費が補助対象に!新事業進出補助金はポスト事業再構築補助金といわれており、2025年最も注目の補助金といえるでしょう。 新事業進出補助金はまだ細かい公募...

2. 機械装置・システム構築費(確定)

機械装置・システム構築費とは、新事業進出補助金の事業で利用する機械装置や工具・器具、ソフトウェアやシステムに関する経費のことです。
主に下記の経費が補助対象となる可能性が高いです。

①専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
②専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
③①又は②と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

生産ラインや加工設備、ITシステムなど、新事業に必要な機器購入費が補助されるかと思われます。
事業再構築補助金の時はリース・レンタルやECモールのランニングコストも補助対象となっていたので、新事業進出補助金も同様に補助対象となる可能性が高いでしょう。

新事業進出補助金の機械装置・システム構築費について詳しく解説。ポイントと注意点は?新事業進出補助金の補助対象経費の一つである機械装置・システム構築費。 一体どこからどこまでが経費になるのか疑問に思われた方もいらっしゃ...

3. 技術導入費(確定)

技術導入費は事業再構築補助金をベースにすると下記の範囲が補助対象となると考えられています。

本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
※1 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面に
よる契約の締結が必要
※2 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできません。

技術導入費は知的財産権等の導入に要する経費が補助対象となります
自社で開発した場合のみならず、他社の知的財産権の取得についても補助の対象となります。(書面による契約の締結が必要)
自社の研究開発や商品開発技術を向上させるための経費ではありませんので、注意しましょう。

4. 専門家経費(確定)

専門家経費とは「事業を実施するために依頼した専門家に支払う経費」のことをいいます。
事業再構築補助金では本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費とされており、新事業進出補助金も同様になるかと思います。
学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができると思われます。

専門家の謝礼の目安は下記の通りになると思われます。

・大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
・准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下

確定的な補助対象経費は上記の通りですが、この他にも複数の経費が補助対象となると考えられています。
予想も含めた補助対象経費は下記の記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

新事業進出補助金の補助対象経費の範囲は?解説します。2024年度の補正予算案において、「新事業進出補助金」が新たに注目されています。 新事業進出補助金は「事業再構築補助金」の後継補助金と...

5. 運搬費

運搬料、宅配・郵送料等に要する経費は補助対象となる可能性があります。
ただし、機械装置やシステムに関する運搬費は「機械装置・システム構築費」で計上するのが一般的です。

6. クラウドサービス利用費

クラウド型のシステムやソフトウェア利用料が補助対象となる可能性が高いです。
ただし、下記の経費は補助対象外となる可能性が高いですので、注意しましょう。

  • 基幹システムなど他の事業と共有する場合
  • サーバー購入費
  • サーバー自体のレンタル費
  • 補助事業実施期間外の経費(超える場合は按分)
  • パソコン・タブレット端末・スマートフォンなどの本体費用

7. 外注費

事業実行に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費は外注費として、補助対象経費となる可能性があります。

8. 知的財産権等関連経費

新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費も補助対象経費となる可能性があります。

9. 広告宣伝・販売促進費

本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用、SNSツール(フェイスブックやインスタグラム等)へのWEB広告等に係る経費が補助対象になる可能性があります。

新事業進出補助金の第一回公募のスケジュールは?

新事業進出補助金の第一回公募の正確なスケジュールはまだでていません。(2024年12月23日現在)
しかしながら、令和7年4月より公募(公募要領の公開)を行うものとする点と採択件数は約6,000件である点(ただし、1件当たりの補助申請額によっては、予定件数は増減する場合がある。)、公募回数は全部で4回を予定している点については記載がありました。
そこで、これまでの事業再構築補助金ものづくり補助金のスケジュールを参考に下記の通り予想を立てましたので、参考にしてみてください。

【第一回公募の予想スケジュール】

項目日程(予想)
公募開始日2025年4月
申請受付開始日2025年5月~6月
申請締切日2025年6月
採択結果の発表2025年8月〜9月
新事業進出補助金の第一回公募のスケジュールを予想!新事業進出補助金の活用を検討している事業者にとって、申請の締め切りや採択結果の発表時期、補助金の入金までの流れは非常に重要です。 ...

今から準備すべきこと

新事業進出補助金が正式発表されるまでの間に、企業が準備しておくべき事項をまとめました。
新事業進出補助金へのアプローチは基本的には事業再構築補助金と同様になると思われます。
そのため、下記について事前に準備をしておきましょう。

1.SWOT分析

新事業進出する際に重要となってくるのは自社の分析と市場の分析です。
最もメジャーな分析方法の一つとして、SWOT分析があります。
SWOT分析は自社の強み・弱み、外部環境の機会と脅威を分析して、戦略を練ることをいいます。
事業再構築補助金でもSWOT分析は重要視されていました。
SWOT分析の画像

新事業進出補助金の事業計画書内にSWOT分析を行う必要があるかどうかは不透明ですが、新事業へ進出する際は必要な分析となりますので、今の内から準備しておきましょう。
SWOT分析は下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

事業計画で重要なswot分析の書き方と具体例を紹介!事業再構築補助金事業再構築補助金の中で重要な項目の一つにswot分析があります。 事業計画の中でも特に重要視すべき点で、採択の合否に関わるといっても過...

2. 事業計画書の作成準備

事業再構築補助金でも必須であった「事業計画書」は、新事業進出補助金でも同様に重要視されるでしょう。具体的には以下のポイントを押さえて作成を進めましょう。

  1. 事業内容の具体化
    • 進出する新市場や新製品の詳細。
    • 製品・サービスの新規性、市場ニーズに応える根拠。
  2. 数値計画(売上・利益予測)
    • 製品の市場投入後、3年~5年の売上高や利益の計画。
    • 売上構成比や全体売上に占める新製品・新事業の割合
  3. 資金計画
    • 補助金の使い道(建物費、機械装置費、技術導入費など)。
    • 自己資金や融資の計画も併記することで信頼性が高まります。
  4. 賃上げ要件への対応
    • 賃上げ目標や人件費の計画を明確に示し、補助率の引き上げ要件を満たす方針を示す。

3. 新市場の調査・競合分析

新事業の成功には市場ニーズの把握と競合の分析が不可欠です。市場調査を通じて、どの顧客層をターゲットにするか、競合と差別化できるポイントは何かを明確にしましょう。

具体的な市場調査の手法としては:

  • 統計データの活用:政府統計や業界団体のデータを収集。
  • 競合分析:競合他社の製品、サービス、価格設定などを調査。
  • 顧客アンケートやヒアリング:新製品や新サービスへの需要やフィードバックを収集。

競合との差別化が明確であるほど、事業計画の説得力が増し、採択率向上につながります。

4.外部専門家との連携

事業計画書の策定や新事業の実行において、専門家や外部パートナーとの連携が採択率を高めるカギとなります。
なかでも、補助金サポートに特化した会計事務所や税理士事務所は補助金申請や新事業の財務面をサポートする強力なパートナーとなります。
会計事務所を利用するメリットは下記の通り。

  1. 事業計画書の財務部分の精度向上
    • 新事業進出補助金では、事業計画書内に数値計画(売上予測・利益計画)が求められます。
    • 公認会計士は、具体的かつ説得力のある財務計画を作成し、審査通過の確率を高めます。
  2. 補助金対象経費の適切な整理
    • 補助金の対象となる経費(建物費、機械装置費、技術導入費等)を正確に整理し、無駄のない計画をサポートします。
    • 専門家経費や外注費など、細かい経費区分についても相談が可能です。
  3. 補助金後の経営改善と会計サポート
    • 補助金採択後も、資金繰りや会計処理の最適化をサポートし、企業成長に寄与します。
    • 賃上げ要件への対応や利益管理も含めたトータルサポートが期待できます。

まとめ

今回は新事業進出補助金の概要の予想をしてきました。
ポイントは下記の通り。

  • 来年度の中小企業支援策として「新事業進出補助金(仮称)」が登場する可能性が示唆
  • 事業再構築補助金の後継とされ、新事業進出要件を踏まえた支援になる可能性
  • 予算規模は約1,500億円と見込まれ、採択率や補助額はものづくり補助金に近い水準か
  • 補助対象経費には建物費、機械装置、システム導入、広告宣伝費など幅広い経費が含まれる可能性が高い
  • 申請に備えて、SWOT分析や財務書類の整理、専門家との連携など、事前準備が重要

 

弊社では、2025年(令和7年)に開始する「ものづくり補助金」について、全国各地からオンラインでの初回無料で打ち合わせが可能となっています。今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。

弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。

お問い合わせ先

中小企業省力化投資補助金申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
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