新事業進出補助金は、中小企業が新市場や高付加価値事業に進出する際に、その設備投資などを補助する制度です。
新事業進出補助金は、企業の成長を後押しし、経済全体の活性化を図るために設けられています。
しかし、補助金は原則として後払いのため、キャッシュフローに困る場合が少なくありません。
そのため、事業を進めるにあたっては「つなぎ融資」が必要となるケースが多くあります。
そこで今回は、つなぎ融資の概要や注意点、そして新事業進出補助金を利用する際におすすめの金融機関を紹介します。
つなぎ融資とは?
つなぎ融資とは、補助金や助成金が交付されるまでの間、資金不足を補うために短期間借りるローンのことを指します。
補助金の支給は、事業が完了し実績報告書を提出した後に行われるため、企業が初期投資を自力で賄う必要がある場合があります。
新事業進出補助金のスケジュールの詳細はまだ公開されていませんが、おそらくは下記のスケジュールになることが予想されています。
- 採択結果発表
- 交付申請
- 交付決定
- 補助事業の実施期間開始
- 設備の購入など投資
- 補助事業の実施期間終了(④から12か月後、①から14か月後(グリーン成長枠は④から14か月後、①から16か月後))
- 実績報告
- 確定検査
- 補助金の支払い。
補助事業の実施期間終了から補助金の支払いまでどのくらいの期間になるかは不透明ですが、交付申請から1年半~2年程度かかると思っておいた方が良いでしょう。
この期間は自ら資金を用意する必要があるため、資金不足におちいることが少なくありません。そこで、資金不足を解消する手段として、つなぎ融資が役立ちます。
つなぎ融資の主な特徴
つなぎ融資の主な特徴は下記の通り。
- 短期間の借入: 借入期間は補助金が交付されるまでの数か月間が一般的です。
- 使途が限定: 補助金の対象となる事業費用の一時的な補填が主な目的です。
- 比較的低金利: 公的な補助金と関連する融資であるため、民間の通常の融資よりも低金利で利用できる場合があります。
つなぎ融資を利用する際の注意点
1. 申請から交付までのスケジュールを確認
補助金の交付スケジュールは、事業完了後に実績報告を提出し、その後審査が行われてから振り込まれるという流れになります。このプロセスは数か月を要するため、つなぎ融資を借りる際はその期間を考慮する必要があります。
2. 借入金額を慎重に見積もる
つなぎ融資の借入金額は、補助金の交付額と同額、またはそれを若干下回る金額に設定するのが一般的です。過大に借りると余計な利息が発生する可能性があるため、見積もりは慎重に行いましょう。
3. 返済計画の準備
補助金が交付されたら、つなぎ融資は速やかに返済する必要があります。返済のタイミングや方法については、金融機関と事前に十分な打ち合わせを行いましょう。
新事業進出補助金で活用したいつなぎ融資先4選
新事業進出補助金で活用したい融資制度は下記の4つです。
- メインバンクからの借入
- 日本政策金融公庫
- POファイナンス
- SBIR(中小企業技術革新制度)
具体的に解説していきます。
メインバンクからの借入
まずはメインバンクからの借入を検討すべきです。
健全な付き合いをしていれば、事前に大まかな融資金額を把握することができ、柔軟な融資対応をしてくれるためです。
新たな金融機関は審査に数週間~数か月かかることも珍しくありません。
手続きのスムーズさなどを考慮すると、メインバンクから借入するのがベストといえるでしょう。
しかしながら、メインバンクが事業計画に難色を示すことも少なくありません。
特に近年はゼロゼロ融資の返済開始や人手不足、コスト上昇などの影響で、倒産が増えていることもあり、融資に慎重になっている金融機関も数多くあります。
思った通りの資金調達ができなかったということもいらっしゃいますよね。
そこでメインバンク以外からの資金調達について紹介していきます。
日本政策金融公庫 国民生活事業
メインバンクで難しかった場合は日本政策金融公庫 国民生活事業に相談してみることをおすすめします。
小規模事業者や個人企業に対応しており、運転資金や設備資金など柔軟な融資対応をしてくれます。
大型の資金調達には不向きですが、1,000万円以下の資金調達であれば最も借りやすい金融機関の一つといえるでしょう。
POファイナンス
POファイナンスとは受発注情報の電子登録を担保とした資金調達の手法です。
つまり、新事業進出補助金の決定情報を担保することができ、実質的に無担保で融資を受けられるということです。
近年確立された融資制度で、地方銀行を中心に導入が進んでいます。
資金調達のめどがつかないという場合はPOファイナンスでの資金調達も検討する余地があるかと思います。
つなぎ融資をスムーズに利用するためのポイント
1. 早めの相談が鍵
補助金が採択されたら、すぐにつなぎ融資の相談を始めましょう。
金融機関によっては審査に数週間かかる場合もあるため、余裕を持った計画が必要です。
2. 必要書類を揃える
つなぎ融資を受けるには、以下の書類が必要となることが多いです。
- 補助金の採択通知書
- 事業計画書
- 企業の財務諸表(決算書や納税証明書)
事前に必要書類を揃えておくと、手続きがスムーズに進みます。
3. 補助金のスケジュールを把握する
補助金の交付時期が明確であれば、それに合わせた借入期間を設定できます。
金融機関と事前に相談し、返済計画を練ることが重要です。
まとめ
今回は新事業進出補助金でのつなぎ融資の概要や注意点、おすすめの金融機関について解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- つなぎ融資は補助金交付までの資金不足を補うための短期間の借入手段で、事業開始時の初期投資を支える重要な役割を果たします。
- メインバンクを最優先に融資を検討し、それが難しい場合は日本政策金融公庫やPOファイナンスなどの選択肢を活用します。
- 補助金の交付スケジュールを把握し、借入期間と金額を慎重に見積もることで、無駄な利息の発生を抑えられます。
- 早めの金融機関への相談と必要書類の準備(採択通知書や事業計画書など)で、審査手続きの効率化を図りましょう。
- 補助金交付後は速やかに返済する計画を立てることが重要で、金融機関と事前に返済スケジュールを確認しておく必要があります。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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