経済産業省のホームページ内で事業再構築に関するよくある質問が公表されています。
今回はこの新分野展開、事業転換、業種転換でよくある質問について詳しく解説していきます。
Q1:新分野展開において、新たに取り組む分野は従来の主たる業種又は主たる事業に含まれている必要がある
か。
含まれている必要はありません。
→つまり、今までと関係のない全く新しい分野の事業を始めてもよいということです。
ただし、審査・加点要素に「補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。」という記載があります。
全く新しい分野だとシナジー効果を見込みにくいという点もありますので、なるべくなら関係のある事業の方が好ましいと言えるでしょう。
Q2:新分野展開において、新たに取り組む分野が既存の事業と日本標準産業分類上異なる事業でもよいのか
問題ありません。なお、結果として、主たる事業や業種が異なる計画となる場合に
は、事業転換や業種転換を選択してください。
→Q1と似たような質問です。全く新しい分野で初めても大丈夫ですよ。ということですね。
Q3:複数の新製品等により新分野展開の取り組みを行う場合、売上高10%要件は複数の新製品等を合わせて10%以上となることでよいか。
ご理解のとおりです。
→複数商品で売上10%要件を満たしても良いという事なので、なるべくなら複数の新製品の開発をすすめることをおすすめします。
理由は「事業再構築補助金は補助率・補助額が高い」「一つの新製品で売上高10%要件を満たすのは難しい」という2点です。
商品があふれている現代社会において、新製品で売上高を上手く伸ばすのは困難です。
事業再構築補助金は補助率最大2/3というチャレンジしやすい環境が整っているので、可能な限り複数の新製品で売上を伸ばす努力をした方が好ましいでしょう。
Q4:新分野展開について、「主たる業種又は主たる事業を変更することなく」とは、主たる業種も主たる事業も
変更しないという解釈でよいか。
ご理解のとおりです。
→新分野展開とは「中小企業等が主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出することをいう。 」と掲載されています。
これだけ見るとどちらかは変更した方が良いという風な解釈もできますが、両方とも変更しなくて良いとの回答がでました。
ですので、新分野展開は業種も事業もいずれも変更する必要がないということになります。
Q5:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「①過去に製造等した実績がな
いこと」や「②製造等に用いる主要な設備を変更する
こと」、製品等の新規性要件を満たさない場合の例と
して記載のある、「既存の製品等に容易な改変を加え
た新製品等を製造等する場合」や「単純に組み合わせ
ただけの新製品等を製造等する場合」等について、明
確な基準はあるのか。
一律に基準を設けることとはしておりません。なお、「①過去に製造等した実績がな
いこと」については、判断に迷う場合は5年程度を一つの目安としてください。また、
例えば、試作のみでこれまでに販売や売上実績がないケース、テストマーケティング
など実証的に行ったことはあるものの継続的な売上には至っていないケースであっ
て、更なる追加の改善等を通じて事業再構築を図る場合や、従来販売していた製品の
改善を通じて事業再構築を図る場合は「過去に製造等した実績がない場合」に含まれ
ます。
→要件については基準がないため、甘めに設定されているようです。ケースバイケースにもなるかと思いますが、「試作のみの販売」「販売したが、継続的な販売ではない」「過去に販売した商品を改善した新商品」などは全て要件を満たすものと考えられます。
Q6:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備
を変更すること」について、「設備」とは何を指す
か。
設備、装置、プログラム(データを含む。)、施設等を指します。
→目に見えるものだけではなく、データのような目に見えないものも設備とされています。また「等」と記載されている通り、この他にも多数のものが設備の中に含まれると考えられます。
Q7:製造業において、従来より品質が優れた(精度が高
い、耐熱温度が高い、重量が軽い等)製品を製造する
場合には、製品等の新規性要件を満たすといえるの
か。
一概にお答えすることはできませんが、基本的には、製品等の新規性要件を満たし得
ると考えられます。ただし、①過去に製造等した実績がないこと、②製造等に用いる
主要な設備を変更すること、③定量的に性能又は効能が異なることを事業計画におい
てお示しいただくことが必要となります。
→Q5と似たような内容となります。似たような商品であっても、性能が異なれば製品等の新規性要件を原則として満たすと考えて良いでしょう。ですので、無理に新規の商品を製造するのではなく、既存の商品を改善させるようにしても良いかもしれません。
Q8:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備
を変更すること」について、製造等を行うに際し、既
存の設備も一部用いることは問題ないか。
問題ありません。
→すべての設備を変更する必要はないということです。ですので、無理な設備投資をするのではなく、本当に必要なものだけ設備投資していくことをおすすめします。
Q9:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備
を変更すること」について、新たに導入した設備は新
製品等の製造等にしか用いてはならず、既存製品等の
製造等には用いてはならないのか。
事業計画において、新製品等の製造等のみならず、既存製品等の製造等にも用いるこ
とをお示しいただいていれば可能です。ただし、既存設備で新製品等を製造等できる
にもかかわらず、単に設備を買い替えるためだけに本補助金を利用することはできま
せん。
→既存製品にも問題なく新規の設備は利用できるとのことでした。設備投資に関してはある程度汎用性が高くても問題がないようです。ただし、補助金を得るための設備投資ではなく、必要な投資だから設備投資するという感覚を忘れないようにしておいた方が良いかと思います。
Q10:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、既存の製品等に関して
は、設備を変更する必要はないか。
必要ありません。
→既存の製品は既存の設備のままやっても良いですし、Q9のとおり新規の設備を使っても大丈夫ということでした。
要件だけ見ると使いにくそうですが、実態は汎用性が高く、使いやすい補助金となりそうです。
Q11:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、必ず当該設備に係る投資
を補助対象経費として計上することは必要か。
主要な設備を変更していれば、当該設備にかかる費用について、必ずしも補助対象経
費に含めることは必要ありません。
→設備の変更をしても、補助対象経費としなくても良いようです。
Q12:製品の新規性要件の「③定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る。)」は、製品等の性能や効能が定量的に計
測できる場合に限っては、定量的に性能又は効能が異
なることを示し、それ以外の場合には、定量的に計測
することが難しいことを示すことでよいか。また、計
測する方法に指定はあるか。
問題ありません。また、計測方法については、一律の基準はありませんので、自社の
製品等の性能や効能を計測するのに最も適切な指標を用いてお示しください。
→定量的に計測できない設備であっても、問題なく導入できるということです。また、計測する方法に指定がないため、ある程度事業者側で数字を選べるということになります。
ただし、どの数字を選べばよいかという点は補助金慣れしていない事業者や認定支援機関で判断するのは難しいかもしれません。
申請する際は補助金の申請実績が十分にある認定支援機関を選ぶことをおすすめします。
Q13:製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、ファブレス経営の場合に
は、自社で設備を保有しないため、一律に対象外とな
るのか。
既存製品と比較して、委託先において、製造等に用いる主要な設備が変更となってい
れば対象となり得ます。
→ファブレス経営とは自社で工場をもたない製造業の経営のことをいいます。実際の製品の製造は他社に任せるOEMのような方式をとっている企業のことです。
ファブレス経営でも事業再構築補助金の対象となるということは非常に大きなポイントとなります。
つまり、非製造業でも簡単に製造業になれるということです。
例えば、WEB広告の会社が他社の商品ではなく、自社で商品を開発して販売するというようなパターンでも、事業再構築補助金の対象となる可能性が高いということです。
新規事業にお悩みの方は製造業として新たな取り組みをしてみるのも良いかもしれません。
Q14:市場の新規性要件の「既存製品等と新製品等の代替性が低いこと」について、明確な基準はあるのか。
一律に基準を設けることとはしておりません。
→事業再構築補助金自体少し分かりにくい要件であることもあり、要件にほとんど基準は設定されていません。
ですので、少し迷うような場合はためらわず申請してみた方が良いでしょう。
Q15:市場の新規性要件の「既存製品等と新製品等の代替性が低いこと」について、手引きには、「新製品等を販売した際に、既存製品等の需要が単純に置き換わるの
ではなく、売上が販売前と比べて大きく減少しないこ
とや、むしろ相乗効果により増大することを事業計画
においてお示しください」とあるが、工場を閉鎖し跡
地にデータセンターを新たに建設する場合など、既存
事業を一部縮小して新規事業を行う場合には、当然な
がら既存製品等の売上が大きく減少する場合もあると
思うが、こうした場合は市場の新規性要件を満たさな
いのか。
単に既存事業を一部縮小したことにより既存製品等の売上が減少した場合には、新製
品等の販売により既存製品等の需要が代替されたものではないことから、市場の新規
性要件を満たします。
→既存商品をそのまま販売する場合は売上が増大する必要がありますが、既存商品を縮小する・閉鎖する場合は売上は減少しても良いとの見解でした。
Q16:売上高10%要件の代わりに利益率を用いることは認められるか。
認められません。
→事業再構築補助金ではあくまで売上を伸ばす必要がある事業計画にしなければなりません。利益率についてはほぼ見られないため、売上を伸ばしやすい事業にすることをおすすめします。
Q17:事業転換の売上高構成比要件は、日本標準産業分類の中分類・小分類・細分類のいずれで判定してもよいのか。
問題ありません。
→日本標準産業分類とは総務省のホームページ上に掲載されています。
飲食店の場合、大分類は「宿泊業、飲食サービス業」、中分類は「飲食店」、小分類は「専門料理店、喫茶店、その他の飲食店」、細分類は「日本料理店、中華料理店、ラーメン店、焼肉店、その他の飲食店」などとなります。
中分類を変える場合は大規模な変更となりやすいですが、小分類や細分類は比較的変更しやすいです。
事業内容を大きく変えず、事業再構築補助金を使いたいという場合は、小分類や細分類を変更することをおすすめします。
Q18:既に製造等している製品等の増産のみを行う場合は対象となるのか。
対象となりません。手引きの「3-3.製品等の新規性要件を満たさない場合」の
「既存の製品等の製造量等を増やす場合」に該当します。
→まるっきり同じ製品の場合は事業再構築補助金を使えません。
しかしながら、軽微な変更をした商品の場合は対象となるケースが多いです。
同じような製品を製造したい場合は必ず既存商品に変更を加えるようにしましょう。
もし、「事業再構築補助金を申請したいけど、内容がよくわからない」「認定支援機関が見つからず、困っている」という方はまず一度ご相談ください。
事業再構築補助金について他にもまとめておりますので参考にしていただければ幸いです。
https://mono-support.com/saikouchiku/
また事業再構築補助金がどの様ものかわからないといった方は下記HPをご覧ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/
事業再構築補助金・ものづくり申請代行サポート(CPA)では事業再構築補助金の申請サポート・申請代行を実施しています。