事業再構築補助金はコロナ時代に対応したビジネスモデルを転換する企業に対して、最大1億円まで補助する政策です。
しかしながら、ノウハウもない新たなビジネスモデルをゼロから作り出すというのは難しいといえるでしょう。
そこで注目したいのはM&Aを活用したビジネスモデルの転換です。
正式な情報はまだリリースされておりませんが、事業再構築補助金はM&Aにも利用できる可能性が高いとされています。
今回は事業再構築補助金はM&Aでも利用できる可能性が高い理由と実際のM&Aはどのような流れになるかを解説していきます。
なお、事業再構築補助金の申請方法やポイントは以下の記事にて解説しています。
事業再構築補助金がM&Aにも利用できる可能性が高い2つの理由
事業再構築補助金がM&Aにも利用できる可能性が高い理由は下記の2つです。
- 政府はM&Aを積極的に推進している
- 政府の検討会の資料の中でM&Aに利用できる旨記載がある
具体的に説明していきます。
政府はM&Aを積極的に推進している
政府はM&Aを積極的に推進し、企業の拡大を支援していきたいと考えています。
実際に令和2年12月1日に決定した成長戦略実行戦略の中で下記の通り明記がありました。
後継者問題に悩まされている企業が黒字廃業することなく、価値ある事業を存続させるには、M&Aを含む事業承継の促進を通じ
て、企業規模の拡大に貢献する道筋を用意していくことが重要との指摘があった。
合併等により中小企業の規模を拡大し、生産性を引き上げていくことは重要である
つまりM&Aによって企業の規模を拡大させてほしいという思惑があるということが分かります。
事実M&Aに関する補助は積極的に実施しており、
- 経営資源集約化税制
- 事業・承継引き続き推進事業
- 中小企業再生支援事業・事業承継総合支援事業
と様々な事業や税制でM&Aを推進しています。
ですので、事業再構築補助金もこれらの補助金と同じようにM&Aで利用できる可能性も高いでしょう。
検討会資料の中でM&Aに利用できる旨記載がある
政府が令和2年12月22日実施した「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会(第2回)」の資料の中で下記の資料が公開されました。
中小M&Aを推進するための支援策が記載されています。
この中のM&A実施後の経営統合の欄に事業再構築補助金が利用できる旨記載があります。
つまり、事業再構築補助金はM&A実施後の補助金として利用できる可能性が高いということになります。
ただし、M&Aの費用負担軽減の欄に記載がないことからM&Aにかかる費用としては利用できない可能性が高いでしょう。例えば、買収費用やM&Aアドバイザーへの仲介手数料、財務デューデリジェンス費用などは含まれないと予想されます。
また、2021年3月に開催された経済産業省による令和3年度(2021年度)税制改正の説明会資料によると、経営資源の集約化によって生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づくM&Aを実施した場合に、①設備投資減税 ②雇用確保を促す税制 ③準備金の積立を認める措置を創設する旨の記載があります。
中小企業等事業再構築促進事業のパンフレットにもその記載があります。
中小・中堅企業の大きな節税にもつながる施策ですので、M&A市場の活発化に資する取組みだと思います。
こちらの「事業再構築補助金のよくある問い合わせ」の記事の中でも徐対象経費の範囲等について触れていますので、参考にしてみてください。
事業再構築補助金などを活用したM&Aの流れ
実際に事業再構築補助金などを活用したM&Aの流れは下記のようになりそうです。
- 事業承継診断
- 事業者間でのマッチング
- M&Aに対する資金を確保
- M&A実施後の経営対策
具体的に説明していきます。
事業承継診断
まずはM&Aの情報提供をしている事業承継ネットワークを活用します。
事業承継ネットワークとは政府が支援している中小企業の事業承継をサポートする仕組みです。
「事業承継を考えているけど、何から始めてよいかわからない」「事業承継というのはどのようなものかわからない」といった経営者に気づきの機会を提供します。
最初のM&Aとなるとまずは何からやれば良いかわからないというケースも多いかと思いますので、まずは事業承継ネットワークを活用することをおすすめします。
事業承継ネットワークは各自治体ごとにあります。
「事業承継ひろば」というWEBサイトで自治体の相談窓口が分かりますので、自分の会社がある自治体に相談してみましょう。
事業者間でのマッチング
次は事業者間でのマッチングを行います。
マッチングには「事業引継ぎ支援センター」を活用することをおすすめします。
事業引継ぎ支援センターとは後継者不在で事業や会社を売却したい事業者とM&Aにより規模を拡大させたい事業者に対して、M&Aに係る助言やマッチング支援を行う団体です。
全国47都道府県ごとに設置されています。
また近年では簡単に案件を検索できるM&Aのプラットフォームも出てきていますので、こちらの方を活用してみても良いでしょう。
代表的なプラットフォームは「トランビ」です。
サイトの中に様々な企業や事業が売り出されており、自分の興味ある事業や業種を検索できます。
全国各地から検索できますので、様々な企業から選びたいという事業者におすすめのサービスです。
他にも「M&A cloud」や「ビズリーチ サクシード」などが有名なプラットフォームですので、こちらの方も合わせて活用することをおすすめします。
M&Aに対する資金の確保
実際に事業者間で買い先が見つかった後は買収資金を確保しなければなりません。
M&Aには多額の資金を必要とします。自己資金で全て賄うのは困難でしょう。
補助金や融資を活用し、事前に資金調達をしておくことをおすすめします。
M&Aの資金において活用したい補助金や制度は下記の2つです。
事業承継・引継ぎ補助金はM&Aの専門家に依頼したときに利用できる補助金です。
補助率は50~66%とされており、最大400万円の仲介手数料やデューデリジェンス費用を補助してくれます。
経営承継円滑化法における金融支援とはM&Aに係る費用を日本政策金融公庫が融資してくれることをいいます。
制度融資や保証協会の増枠など様々な特別措置があるので、一般的な融資よりも有利な条件で借りれるのが特徴です。
これらの資金や補助金を活用して、資金を確保することをおすすめします。
また事業再構築補助金がM&A時に補助されるかどうかはまだ正式な発表がでておりません。
正確な発表が出次第記事を更新させていただきます。
M&A実施後の経営対策
M&A実施後の経営対策にも多額の費用がかかります。
定款の統合やシステムの統合、人員の再整備などやることが山積みとなっているためです。
これらの費用を補助するのが「事業承継・引継ぎ補助金」および「事業再構築補助金」です。
事業承継・引継ぎ補助金は設備投資や販路開拓にかかる費用対して、補助率50%~66%で、最大800万円まで補助がでます。
事業再構築補助金ではどこまで補助がでるのかは正式な発表はされていません。
ただし、事業再構築補助金の対象費用はミラサポでは下記のとおりとされています。
建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等が補助対象経費に含まれます。
ですので、設備投資、販路開拓、人材育成費、システム統合費用、不動産取得費用などに活用できる可能性が高いでしょう。
現時点ででている資料をまとめるとM&A前までは他の補助金や融資を活用する、M&A後は事業再構築補助金を活用するという流れになりそうです。
なお、事業再構築補助金の補助の対象とならない経費については以下の記事にて整理しています。
まとめ
今回は事業再構築補助金はM&Aにも利用できる可能性が高いという点と実際のM&Aはどのような流れになるかを解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通りです。
- 事業再構築補助金はM&Aでも利用できる可能性が高い
- M&A実施後の経営拡大関連費用に利用できる可能性が高い
- M&Aには他の補助金や制度融資があるので、合わせて活用することをおすすめ
ビジネスモデルの転換とはいってもゼロから始めるのはなかなか難しい部分があります。
事業再構築補助金を活用して、M&Aによってビジネスモデルを転換し、経営を拡大していくのも一つの手法として検討しておくことをおすすめします。
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最後となりますが、事業再構築補助金・ものづくり申請代行サポート(CPA)では、事業再構築補助金の注意すべきポイントについて、以下の記事でまとめてますので、参考にしてみていただければと思います。
他にも事業再構築補助金についてまとめております。ご覧ください。
https://mono-support.com/saikouchiku/