中小企業や小規模事業者の事業活動を支援する「ものづくり補助金」。
近年ではデジタル技術の進展や市場の多様化により、多くの企業が新規事業に挑戦しています。
その中で、「ものづくり補助金は新規事業にも使えるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ものづくり補助金が新規事業に活用できるのかどうか、具体的な活用事例について詳しく解説します。
ものづくり補助金は新規事業にも利用可能?
結論から言うと、ものづくり補助金は新規事業にも利用可能です。
特に、新規性や革新性のある取り組みに対して積極的に支援を行っています。
ものづくり補助金の一般的な内容である製品・サービス高付加価値化枠の基本要件は下記の通り。
◼ 通常類型
革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
◼ 成長分野進出類型(DX・GX)
今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発※の取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
※ 革新的な製品・サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、導入した設備・システムを用いて、自社の技術力等を活かして製品・サービスを開発することをいいます。
単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しません。また、業種ごとに同業の中小企業(地域性の高いものについては同一地域における同業他社)において既に相当程度普及している製品・サービスの開発は該当しません。
上記の通り、ものづくり補助金の目的の一つに「新製品・新サービスの創出」があります。
この目的に沿った取り組みであれば、既存事業に限らず、新規事業の立ち上げや市場参入も補助対象となります。
新規事業におけるものづくり補助金の活用例
第18次の採択事例から新規事業で活用した思われる事業計画の一部を紹介していきます。
1. 地方を大規模停電から守る!業界初のマルチ発電車の試作事業
新規事業として、災害時に迅速に対応できる「マルチ発電車」の試作に着手。
これは、地方のインフラを守る画期的な製品として、災害対策市場をターゲットにしたプロジェクトです。補助金を活用して最新の発電技術を取り入れ、移動可能な発電設備を試作。災害時の電力供給を確保し、新たな収益源を開拓しました。
2. 生コン産廃スラッジ粉をリサイクルコンクリートの原材料に活用
廃棄物のリサイクル技術を活用した新規事業として、コンクリート産廃スラッジを再資源化し、環境負荷を低減するリサイクルコンクリートの製造・販売を開始。
この取り組みは、循環型社会の実現に貢献しながら、新しい市場を創出するものです。
補助金を利用して専用設備を導入し、リサイクル技術の確立を図り、環境ビジネス分野での競争力を高めました。
3. 全国の飲食店を救う!高付加価値冷凍仕出し料理のFC化事業
新たな外食市場の需要に応えるため、地元食材を使用した高品質冷凍仕出し料理のフランチャイズ化を計画。
補助金を活用して冷凍技術や包装ラインの導入を実現し、全国展開を目指しました。
この事業は、飲食店の新しいビジネスモデルを提供し、地域の農業や食品産業とも連携して新たな価値を生み出しています。
4. 消費者向けホタテ貝柱加工品の新商品開発
水産業の活性化を目指し、ホタテ貝柱を使った新しい加工食品を開発。
補助金を使い、最新の加工設備やパッケージデザインを導入し、高付加価値の商品を市場投入。
これにより、新たなターゲット層への販路を拡大し、地域特産品のブランド力を向上させました。
5. 観光地活性化に貢献するVR技術を用いたバーチャル観光サービス
観光業界のDXを推進するため、VR技術を活用してバーチャル観光サービスを開発。
これにより、現地に訪れることが難しい消費者に向けて観光地の魅力をオンラインで体験できるプラットフォームを提供。
補助金を活用してシステム開発費用を賄い、新規事業としてデジタルツーリズムの分野を切り開きました。
新規事業ならものづくり補助金ではなく、新事業進出補助金の検討を
ものづくり補助金は新規事業にも使えますが、新製品・新サービスの創出に関連した事業にしか使えません。
しかしながら、実際のところ既存にある事業で新規事業を考えているという方も多いかと思います。
そこでおすすめしたいのが、2025年から公募予定の新事業進出補助金です。
新事業進出補助金は中小企業の新事業創出と構造転換への投資を重点的に支援するポスト事業再構築補助金といわれている補助金です。
新規事業に特化した補助金なので、ものづくり補助金よりも使いやすい可能性が高いです。
新事業進出補助金については下記の記事にて解説しています。

また、中小企業庁からは令和6年度補正予算案として下記の資料が公開されています。

また、中小企業新事業進出補助金として、独立行政法人 中小企業基盤整備機構からは下記の資料が公開されています。

事業目的に、新規事業に特化している補助金のため、ものづくり補助金よりも使いやすい補助金になるのは間違いないでしょう。
まとめ
ものづくり補助金が新規事業に活用できるのかどうか、具体的な活用事例について解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- ものづくり補助金は新規事業でも利用可能
- 新規性や革新性のある製品・サービス開発に利用可能。
- 成長分野進出類型では、DXやGXなど成長市場向けの取り組みを支援。
- 新規事業に特化した「新事業進出補助金」の利用も検討すると効果的。
弊社では、ものづくり補助金に加え、今後公募が開始される予定である「中小企業成長加速化補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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ものづくり補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
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