ものづくり補助金

ものづくり補助金は返済不要?返済を求められるケースを解説

ものづくり補助金は返済不要?返済を求められるケースを解説

ものづくり補助金を申請するにあたって、補助金は返済不要なのかどうか気になる方も多いですよね。
中には100%返済不要だと思われている事業者の方がいらっしゃいますが、これは誤りです。
場合によっては、返済を求められるケースがあるため、注意しなければなりません。
今回はものづくり補助金の返済を求められるケースについて解説していきます。

ものづくり補助金は原則として返済不要

大前提ですが、ものづくり補助金は原則として返済不要です。
補助金や助成金は返済不要で、事業の成長のために交付される資金です。
ですので、基本的には融資とは異なり、国に返す義務はありません。
ただし、特別なケースの場合は返済義務が生まれます。
特別なケースを理解しておらず、後から返済を求められ大きなトラブルになるケースは少なくありません。
ですので、ものづくり補助金で返済を求められるケースは事前に把握しておく必要があります。
それでは具体的にどのようなケースで返済を求められるのか、次の章で確認していきましょう。

ものづくり補助金で返済を求められるケース

ものづくり補助金で返済を求められるケースは主に下記のケースです。

  • 支援を受けた事業者の不記載
  • 給与支給総額の増加目標が未達の場合
  • 事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
  • 補助上限金額の引上要件の未達
  • 違反が後に発覚した
  • 報告をしていない

具体的に解説していきます。

支援を受けた事業者の不記載

支援を受けた事業者の不記載は補助金返還の対象となります。
公募要領の中に下記の通り記載があるためです。

認定経営革新等支援機関や専門家等の外部支援を受けている場合には、事業計画書作成支援者の名称、報酬、契約期間を必ず記載してください。支援を受けているにも関わらず情報が記載されていないことが明らかになった場合には、申請にかかる虚偽として、不採択、採択決定の取消、補助金の返還又は事業者名及び代表者名を含む不正内容の公表等を行います。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版

給与支給総額の増加目標が未達の場合

基本要件である給与支給総額の増加目標が未達の場合、補助金返還の対象となります
詳細は下記の通り。

◼ 補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。
◼ ただし、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年平均成長率が「付加価値額の年平均成長率/2」を超えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。

給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加目標が達成できていない場合は補助金返還の対象となります。
一方で、天災等によって、達成できない場合は

事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合

基本要件である事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合、補助金返還の対象となります
詳細は下記の通り。

補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。

補助上限金額の引上要件の未達

ものづくり補助金では補助上限金額を要件を満たすことで引き上げることができます。
しかしながら、この要件が未達の場合は補助金返還の対象となり得ます
ただし、全額返還の対象となるわけではなく、基本的には補助上限引き上げ分だけが返還対象となります。

(1) 給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加目標に加え、更に年平均成長率4.5%以上(合計で年平均成長率6%以上)の増加目標が達成できていない場合は、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引き上げ
額)について補助金の返還を求めます。

(2) 補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金を申請時より毎年、地域別最低賃金+50円以上の水準とすることを満たしたうえで、さらに、事業場内最低賃金を毎年、年額+50円以上増額することが達成できていない場合は、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引き上げ額)について補助金の返還を求めます。

(3) 事業計画期間において、常時使用する従業員がいなくなった場合には、補助金交付金額から各申請枠の従業員規模ごとの補助上限額との差額分(上記補助上限引き上げ
額)について補助金の返還を求めます。

違反が後に発覚した

申請時には発覚していなかったものの、後に違反が発覚した場合は補助金返還の対象となります。
具体的には下記のケースです。

(1)過去に本事業の交付決定を受けた事業者
(2)過去に中小機構の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の交付決定を受け、それから10ヶ月を経過していない事業者
(3)過去3年間に、2回以上、中小機構の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の交付決定を受けた事業者
(4)中小機構の「事業再構築促進補助金」に採択された事業者であって、その補助対象である事業に用いるための機器を本事業で導入する事業者
(5)観光庁の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」により設備投資に対する補助金の交付決定を受けた事業者、あるいはその申請を行っている事業者
(6)その他の国庫及び公的制度からの二重受給
・間接直接を問わず、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が目的を指定して支出する他の制度(例:補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と補助対象経費が重複しているもの。
・補助対象経費は重複していないが、テーマや事業内容が中小機構の「IT導入補助金」と同一又は類似内容の事業(同じ業務プロセスに省力化製品を導入するもの)。
・なお、これまでに交付を受けた若しくは現在申請している(公募申請、交付申請等すべて含む。)補助金及び委託費の実績については、必ず申請し、これらとの重複を含んでいないかを事前によく確認すること。
(7)本事業の製造事業者、販売事業者に該当する場合

これらに当てはまった場合は後に補助金を返還しなければなりません。

報告をしていない

ものづくり補助金では補助金を受け取った後、報告をする義務があります。
この義務を怠ると下記の通り、補助金を返還する義務が生まれます。

なお、本事業の完了した日の属する会計年度(国の会計年度である4月~3月)の終了後5年間、毎会計年度終了後60日以内に本補助事業に係る事業化等の状況を事業化状況(収益状況含む)・知的財産権等報告書を報告しなかった場合には、補助金の返還を求めることがあります。また、虚偽報告があった場合には、補助金の返還を求めることがあります。

第19次公募から収益納付は返還義務なし!

2025年4月からのものづくり補助金の特徴の一つとして、収益納付による返還義務がないことがあげられます。
第18次までのものづくり補助金では、収益を上げた場合は収益納付の義務がありました。
公募要領では下記の通り記載があります。

収益納付義務
◼ 事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該事業の実施結果の他への供与により収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として収益納付しなければなりません。
◼ なお、令和元年度補正以降にものづくり補助金を活用したことがある事業者で収益納付実績がない事業者については、減点を実施します。

第18次ものづくり補助金 公募要領

収益納付は、補助金交付額を限度として、事業で得た利益の一部を返還する制度です。
しかしながら、2025年度からはものづくり補助金を筆頭として収益納付を求めない方針を国が出しています。
厳しい経営状況の中小企業に配慮した形となりますが、補助金を利用する事業者にとっては大きなチャンスといえるでしょう。

ものづくり補助金の返済トラブルを防ぐための3つのポイント

上記のようにものづくり補助金では返済を求められるケースは少なくありません。
ものづくり補助金に対する理解が不足していると、思わぬ返済を求められることも。
ものづくり補助金の返済トラブルを防ぐために重要なことは下記の3つです。

  • 会計事務所など認定支援機関との協力体制を密にする
  • 事業者自身でものづくり補助金の返済を求められるケースを確認する
  • 採択後されたからといって安心しない

ものづくり補助金は採択が最もハードルが高く、返済トラブルを防ぐのは難しいことではありません。
3つのポイントをしっかりと守り、確実に返済トラブルを防いできましょう。

まとめ

今回はものづくり補助金で返済を求められるケースについて解説してきました。
返済を求められるケースは下記のとおり。

  1. 支援を受けた事業者の不記載
  2. 給与支給総額の増加目標が未達の場合
  3. 事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
  4. 補助上限金額の引上要件の未達
  5. 違反が後に発覚した
  6. 報告をしていない

ものづくり補助金は、返済不要な補助金であるものの、一定の要件を満たさなかった場合や違反があった場合には、返済を求められる可能性があります。
補助金を受け取って終わりというわけではありませんので、注意しましょう。

 

弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。

弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。

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