ものづくり補助金

ものづくり補助金はパン屋も補助対象になる!採択事例とポイントを解説

ものづくり補助金はパン屋も補助対象になる!採択事例とポイントを解説

ものづくり補助金は、製造業だけでなく、小売業やサービス業も対象となる国の支援制度です。
パン屋も例外ではなく、製造プロセスの改善や新商品開発、設備投資を行うことで補助金の対象となります。
この記事では、パン屋がものづくり補助金を活用する際のポイントや、実際の採択事例を紹介し、成功のコツを解説します。

ものづくり補助金とは?

中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
※正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」

メインとなる製品・サービス高付加価値化枠の補助上限は下記の通り
※()内は大幅賃上げ特例を達成した場合

  • 5人以下:750万円(850万円)
  • 6~20人:1000万円(1250万円)
  • 21~50人:1500万円(2500万円)
  • 51人以上:2500万円(3500万円)

中小企業向けの補助率は基本的に1/2ですが、指定された期間内に、3ヵ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上の場合、最低賃金引き上げ特例により補助率が2/3に引き上げられます。

しかし、いずれかの要件を達成できない場合、補助金の返還義務があります。
また、小規模事業者や再生事業者の補助率は2/3です。

ものづくり補助金はパン屋も補助対象!

ものづくり補助金ではパン屋も補助対象となります。
過去の採択事例でもパン屋に関する事業が多数採択されているため、事業内容としては問題ありません。

ものづくり補助金の審査では、事業の内容が補助金の趣旨に合致しているかどうかが重要なポイントとなります。
パン屋の場合、以下のような要素が対象外にならないかを確認する必要があります。

  • 製品の販売のみを目的とする事業:製品を販売するだけではなく、その製品の開発や改良が求められる。
  • サービスの提供のみを目的とする事業:サービスそのものの提供ではなく、そのサービスの質を向上させるための新しい技術や設備の導入が求められる。

そのため、ものづくり補助金を活用するには、単なるパンの販売ではなく、製造工程の改善、新商品の開発、効率化された製造ラインの導入など、革新的な取り組みが求められます。

パン屋でのものづくり補助金採択事例

パン屋でのものづくり補助金採択事例について紹介していきます。

パンの品質安定と生産性の向上へ向けた製造ラインの整備

ものづくり補助金のホームページでも紹介されている「パンの品質安定と生産性の向上へ向けた製造ラインの整備」の成果事例について紹介していきます。

1. 設備導入の背景

従来、パンの発酵工程は手作業とアナログな設備に依存しており、多くの時間と労力を要していました。具体的には、以下の工程が必要でした:

  • パン生地を並べる
  • ストーブの準備
  • 鍋に水を入れ、沸騰させて蒸気を発生させる
  • 灯油の残量確認
  • 鍋の水の補充

この複雑な作業により、発酵完了まで約80分を要していました。

2. 新設備の導入とその効果

新たに導入した設備は、発酵から焼成までを一貫して効率化し、以下の成果をもたらしました。

  • 発酵時間の短縮:従来の約80分 → 約35分へと大幅に短縮。
  • 湿度・温度の自動管理
    • 温度設定:0~45℃
    • 湿度設定:0~95%
    • スプレー式水蒸気供給で均一な湿度管理を実現。
  • 焼成の品質向上:オーブン内の温度が均一に保たれることで、焼きムラが解消。
  • 風味・香りの最大化:高濃度の蒸気を均一に供給し、パンの風味や香りが引き立つように。
  • 製造量の増加:1回の製造量が40本 → 64本に増加し、生産性が向上。

3. 操作マニュアル化による効率性

新設備の導入に伴い、操作工程がマニュアル化され、従業員全員が設備を最大限に活用できるようになりました。これにより、以下の改善が見られました:

  • 製造ロスの大幅削減
  • 安定した品質の確保
  • 作業負担の軽減

4. 今後の展望

設備導入を基盤に、さらなる事業展開が期待されています。

  • 給食事業の拡大:町内施設との協議が進み、新規給食事業への対応が可能に。
  • 新規雇用の創出:給食専任担当者の採用を視野に入れ、人員体制を強化。
  • 製品開発:特産品を活かしたパンや高齢者向け給食パンの開発に着手。
  • 地域PR活動:イベントでの試作品販売や新商品の発表により、地域への貢献と認知度向上を図る。

5. 設備投資の意義

今回の設備導入により、近藤パン店は以下の点で大きな成長を遂げました。

  • 作業時間の大幅短縮
  • 生産性の向上
  • 品質の均一化
  • 事業拡大への基盤形成

その他の採択事例

その他の採択事例としては下記があります。

  • ベーカリーのパンOEM化と厨房機器新設による生産性向上
  • パン生産工程のコンタミネーション防止と効率化による販路の拡大
  • 熊本県シェア№1企業として独自製法による高付加価値パンの生産体制確立に挑戦
  • 給食パンの安全安心・安定供給に必須の新型ミキサ導入で生産性向上
  • パン作りの生産性と品質を高める新設備導入計画
  • 新たなパン製造体制の構築による生産効率向上と顧客満足度の向上
  • 捏ね工程時間短縮により実現する給食パン・一般向けパン収益拡大
  • 高性能包成機導入による薄皮パン生産プロセス改善・利益拡大事業

パン屋がものづくり補助金を活用するためのポイント

パン屋がものづくり補助金を最大限に活用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

1. 明確な事業計画書の作成

ものづくり補助金の審査では、事業計画書の質が大きな評価ポイントとなります。特に、以下の要素を明確に記載することが求められます。

  • 補助金を活用して何を達成したいのか?
  • 設備投資やプロセス改善がどのように生産性向上につながるのか?
  • 地域社会や雇用にどのように貢献するのか?

具体的な数値目標(生産性向上率、コスト削減率、売上増加見込みなど)も示すことで説得力が増します。

2. 革新的な取り組みを盛り込む

ものづくり補助金では、単なる設備更新ではなく、革新的な取り組みが求められます。
例えば:

  • 最新のオーブンや発酵機の導入による品質向上
  • IoTやAIを活用した製造工程の自動化・最適化
  • 新商品開発に向けた試作プロジェクトの立ち上げ

3. 賃上げ要件への対応

ものづくり補助金の補助率を2/3に引き上げるためには、賃上げ要件を満たす必要があります。

  • 従業員の最低賃金を指定額以上に引き上げる
  • 雇用環境改善に向けた取り組みを行う

4. 補助対象経費を正確に理解する

補助対象経費には以下のものが含まれます:

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 運搬費
  • 外注費
  • クラウドサービス利用費

ただし、人件費や消耗品費は補助対象外となることが多いため、注意が必要です。

まとめ

パン屋がものづくり補助金を活用する際のポイントや、実際の採択事例を紹介してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。

  1. 明確な事業計画書の作成:目標や数値指標を明確にし、生産性向上やコスト削減の達成方法を示す。
  2. 革新的な取り組み:最新設備や技術(IoT・AI)を導入し、工程や品質を改善する。
  3. 賃上げ要件の遵守:最低賃金引き上げや労働環境改善に取り組み、補助率の引き上げを目指す。
  4. 補助対象経費の把握:対象経費(機械装置、技術導入費など)を正確に理解し、無駄を省く。
  5. 長期的なビジョン:設備投資後の事業拡大や新市場参入、地域貢献を見据えた計画を立てる。

パン屋がものづくり補助金を活用することで、生産性向上、品質安定、新市場開拓が期待され、地域経済への貢献や持続可能な成長モデルの構築が可能になります。

 

弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。

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