起業家にとって強力なサポートとなる「ものづくり補助金」ですが、IT関連事業でも活用できることはご存じでしょうか?
「アプリ開発」は、IT関連事業の中でも特に注目されている業種のひとつです。一般的には低予算でスタートできると言われていますが、サービスの向上や業務効率化、新しいビジネスモデルの創出には、追加の資金が必要になることが少なくありません。特に若年層の起業家が多く関わるこの分野では、資金調達が大きな課題となっています。そこで、政府からの資金援助を受けることができる「ものづくり補助金」の活用に、ぜひ注目していただきたいと思います。
今回の記事では、アプリ開発をはじめとしたIT関連事業の分野で、ものづくり補助金に採択されるためのポイントを具体的な採択例を豊富に交えて紹介します。ぜひ最後までご一読ください。
ものづくり補助金はIT関連事業の強い味方!
ここでまず、ものづくり補助金の申請業種の割合について、第13次~16次までのデータをご紹介します。
「ものづくり補助金総合サイト データポータル」より
データが示す通り、情報通信業は回を追うごとに採択割合を伸ばしており、第13次から16次にかけては約2倍の伸び率を記録しています。今後も、ものづくり補助金におけるIT関連事業の申請、採択件数は増えていくと予想されます。。
ものづくり補助金の「対象案件」となるためには
具体的に、IT関連事業の中でもアプリ開発を例に考えてみましょう。アプリ開発は対象となる分野ではありますが、実際にものづくり補助金の対象案件となるためには、いくつかの重要なポイントをクリアする必要があります。
機能の開発や改良を伴う事業:単なるアプリの公開ではなく、新規性や改良要素が求められる
業務効率化やサービスの質を向上させる取り組み:アプリを通じて顧客体験や業務プロセスを改善することが重要
例えば、予約管理アプリの開発やAIを活用した診断機能付きアプリの構築など、業務効率化や新たな顧客価値創出に繋がる取り組みが対象となります。
補助対象となる主な経費
ものづくり補助金の対象となるのは、以下のような経費です。
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)」より
It関連事業に関係の深い項目について、具体的にみていきましょう。
1. 機械装置・システム構築費
- 専用ソフトウェアや情報システムの構築費
アプリ開発に必要なプラットフォームや専用のソフトウェア、クラウドベースのシステム構築費用が対象です。たとえば、アプリのバックエンドサーバーやAPIの開発費用など。 - 開発に必要な電子計算機(ハイパフォーマンスPC)
高度なアプリケーション開発に必要なパソコンやサーバー機器の購入費が含まれます。単価50万円以上のものが対象です。 - 関連設備の購入・設置費
アプリ開発のための特定の設備(例:テスト用のデバイス、センサー機器など)の導入費用。
2. クラウドサービス利用費
- サーバー領域のレンタル費用
アプリ運営のためのクラウドサーバー利用費が対象。Amazon Web Services (AWS) やGoogle Cloud Platform (GCP)の利用料が含まれます。 - 開発プラットフォーム利用料
アプリケーション開発に必要なサービス(例:FirebaseやAzure DevOps)の利用料。 - プロバイダ契約料やルータ使用料
補助事業に直接必要な通信インフラの費用。
クラウドサービス利用料については、留意が必要な点もありますので、以下、募集要項をご確認ください。
3. 外注費
- アプリ開発の委託費用
プログラミング、UI/UXデザイン、テスト運用など、一部または全体を外注する場合の経費が対象。外注契約書の提出が必要です。 - セキュリティ診断費用
アプリのセキュリティテスト(脆弱性診断やペネトレーションテスト)を外部業者に依頼する費用。
ものづくり補助金に採択されるための重点ポイント
ものづくり補助金は申請内容の工夫次第で採択される可能性が大きく変わります。また、その審査基準は、経済の動向や国の方針を反映しており、申請時期や内容によって変動する場合があります。最近の公募では、以下のポイントが重視されているようです。
- 効率化:アプリを用いて業務の無駄を削減し、より効率的なプロセスを構築する取り組みが採択されやすい。(例)非対面予約や決済を実現するアプリ開発
- 生産性向上:アプリによって業務プロセスを最適化し、限られたリソースで最大限の成果を生む取り組みが評価される。(例)AIを活用して顧客データを管理し、パーソナライズされたサービスを提供するアプリ
- 新サービスの創出:従来にない機能を持つアプリを開発し、新しい市場を開拓する取り組みも高く評価される。(例)AI婚活アプリやストレス解消アプリのような革新的なサービス
- 短納期化:生産や提供のスピードを向上させるためのアプリ開発
- 内製化:外部委託していた業務を自社内で対応可能にするためのツールとしてのアプリ開発
これらのポイントを踏まえ、具体的な施策を申請内容に反映させることが、ものづくり補助金の採択に向けた効果的なアプローチとなります。
成功実例~アプリ開発での採択事例
それでは、具体的な採択事例をみていきましょう。アプリ開発はアイデア次第で多様な形で事業を展開していくことができます。以下の成功例を参考に、ご自分のアイデアをさらにブラッシュアップして頂けたらと思います。
- 事前決済機能と予約管理機能を統合した非対面型アプリを開発。
業務の効率化と顧客満足度の向上が実現。「効率化」や「生産性向上」の観点から補助金の趣旨に合致
- AI技術を搭載したアプリを開発、ユーザーが自分のニーズに合った商品やサービスを簡単に選べる仕組みを構築。
顧客体験を向上させるだけでなく、運営業務の効率化にも寄与。
- 特定のイベントに特化したマッチングアプリを開発。
新しい顧客層を獲得し、既存の事業と差別化を図る。
- 定期購入機能を搭載したECアプリを開発し、安定した収益モデルを構築。
サブスクリプション型の仕組みをアプリに組み込むことで、顧客満足度の向上と収益基盤の強化を実現。
その他の採択事例
アプリ開発での採択事例 ※第18次 採択結果 |
非対面で事前決済と事前取り置きが可能なアプリ開発によるベーカリーの経営支援事業 |
何処でもそろばん学習可能なそろばん学習用アプリの独自開発 |
AIを活用したオンラインランニングコーチングアプリケーションの開発 |
歯周病アプリを活用した歯周病患者の早期発見・早期治療の実現と重度歯周病患者へのインプラント治療の提供 |
ストレス解消音楽アプリの開発と販売 |
オンラインバーにおけるライブ配信アプリと独自システムの融合 |
あらゆる規模のECサイトに定期購買の機能が組み込めるアプリサービスの開発事業 |
食にITの力を掛け合わせる新しい「フードテック」サービスのアプリケーション開発 |
クラウドとアプリで実現するシェアハウス入居手続の完全非対面化 |
独自アプリケーション開発による次世代予防医学のモデル事業 |
19万ユーザーが利用するスマホアプリの改修による業績拡大施策 |
イベントに特化したAI婚活アプリによる新展開 |
iOSアプリ営業支援システム開発による非対面型ビジネスモデル構築 |
葬儀運営のIT化と故人の遺品や情報の保存連絡可能なアプリ開発 |
教育動画キュレーションアプリ『Liew』の開発とプロモーション |
間隔反復ロジック搭載の英単語アプリ開発及び販売 |
全国初!遠隔撮影アプリを活用したリモート撮影サービスの実現 |
イベントマッチングアプリを活用した事業活性化策 |
非対面型買取再販用モバイルアプリ導入計画とコロナ影響回避計画 |
出前サービス利用高齢者へのコロナ禍解消と利用促進の為の非対面化アプリ導入 |
オンライン学習教材を音声認識技術を用いて素早く作成するアプリの開発 |
製麺機の導入、顧客管理アプリの開発によるラーメン事業の強化 |
見てて飽きない新しいオンライン映像授業サービスのウェブ・スマホアプリの開発 |
まとめ
これまでみてきたように、アプリ開発をはじめとするIT関連事業にとっても、ものづくり補助金はぜひ活用いただきたい資金調達手段です。ここで、今回の記事の要旨をおさらいしましょう。
- ものづくり補助金はIT関連事業やサービス業も対象であり、アプリ開発も補助対象に含まれる。近年、その採択率が高まってきている。
- 計画作成の際は、業務効率化や新規性を重視し、具体的な成果を示すこと。
- 補助対象経費には、システム構築費、クラウド利用費、外注費などが含まれる。
- 審査基準に合致するべく、効率化、生産性向上、新サービスの創出といった観点に重点を置く。
- 過去の採択事例を参考にしつつ、計画の具体性や実現可能性を重視した申請書を作成する。
今回の記事が、「ものづくり補助金」というツールを活用することで、皆様の事業のさらなる発展に貢献できることを願っております。
弊社のサポートについて
弊社ではものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金に加え、令和7年(2025年)から新しく始まる新市場進出補助金(旧事業再構築補助金)、中小企業成長加速化補助金についても、全国各地からオンラインでの初回無料で打ち合わせが可能となっています。
これまでも、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートにおいて多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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