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食品工場が活用できる補助金まとめ|省力化・新事業進出・設備投資を支援

食品工場が活用できる補助金まとめ|省力化・新事業進出・設備投資を支援

食品工場は、慢性的な人手不足やエネルギーコストの高騰、そして設備の老朽化といった複数の課題に直面しています。
これらの問題を放置すれば、生産効率の低下や品質管理の難化、さらには競争力の低下につながりかねません。

こうした中、国や自治体が提供する各種補助金を活用すれば、設備投資や新事業への挑戦にかかる負担を大幅に軽減できます
しかし、補助金制度は種類が多く、それぞれの要件や申請手続きは複雑で、時間や労力を要します。
そのため、制度選びから採択までをスムーズに進めるには、経験豊富な専門家のサポートが有効です。

本記事では、食品工場が活用できる主要な補助金制度の概要から、申請を成功させるためのポイントまでをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

✅ 食品工場が活用できる主要補助金の種類と概要
✅ 省力化・自動化・エネルギー効率化に対応する補助金
✅ 新事業進出や製品開発に使える補助金
✅ 採択されやすい事業計画の作り方
✅ 専門家サポートを利用するメリット

駒田裕次郎

監修: 駒田 裕次郎(こまだ ゆうじろう)

駒田会計事務所 【コマサポ】代表

【来歴】大手監査法人の経験を活かし、創業支援・補助金支援を中心とする「駒田会計事務所」を東京・渋谷に設立。資金調達や事業計画の作成、税務や経営相談まで顧客に寄り添うきめ細やかなサポートを提供。

【実績】創業融資・補助金の支援実績は、累計3,000件以上(2025年1月末現在)

【所有資格】公認会計士・税理士・認定支援機関

「一人ひとりの起業家の成功を願い、日本の未来を明るくする」をモットーに、日々奔走。

新事業進出補助金

目的

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。

関連記事:新事業進出補助金は製造業の設備導入で使える?解説します。

公募要領やホームページについては下記の通り。

補助率・補助上限金額

新事業進出補助金の補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。

補助額
従業員数補助金額大幅賃上げ特例適応時
21人以下750万円以上2,500万円以下3,000万円
21~50人750万円以上4,000万円以下5,000万円
51~100人750万円以上5,500万円以下7,000万円
101人以上750万円以上7,000万円以下9,000万円

補助対象経費

補助対象経費
建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費

食品工場においては、建物費の補助対象化が大きなメリットとなります。
通常、多くの補助金制度では新築・増築・改修に係る建物費は対象外となる場合が多いですが、新事業進出補助金では、 新たな製造ラインや新製品開発に必要な工場の新設・増築・改修費用 が対象に含まれます。

例えば、以下のようなケースで活用可能です。

  • 新しい製造設備を導入するための工場棟の増築

  • 衛生基準(HACCP等)対応のための工場改修工事

  • 冷凍・冷蔵室やクリーンルームの新設

  • 新ブランド製品専用の製造スペース構築

このように、単なる機械装置だけでなく、建物そのものの整備費用まで補助対象にできるため、大規模な事業転換や生産能力増強を検討している食品工場にとっては非常に有利な制度です。

採択事例

(前身の事業再構築補助金の採択事例です。)

「事業計画名」をタップすると「事業計画の概要」が開閉します。

当店自慢のロールピザを活かした冷凍ピザ生地の販売で商圏拡大に挑戦
コロナ禍の外食需要の減少や、物価高騰により、店舗営業のみの収益体制に限界を感じております。新事業では、当店自慢のロールピザの生地を冷凍商品化します。5年後には、商圏を北海道全域に拡大、冷凍商品の製造卸売業進出で新たな
収益源を確保します。

飲食コンサルから食品製造業へ!大手ホテル基準のふるさと納税品を!
大手ホテル会社の飲食店運営を行う当社にとって、コロナ等感染症危機の影響は甚大。一方、ふるさと納税をきっかけに全国の顧客からの需要が高まり、食品製造に進出。大手ホテル品質の基準で商品化し、安定的な出荷体制を構築します。

最新の冷凍調理技術を活用した業務用ハンバーグ製造ラインの立ち上げ
物価高騰の影響で利益率が圧迫される中、急速冷凍設備や自動成形機を導入し、歩留まりと生産性を改善。業務用市場向けの安定供給体制を確立し、販路を拡大します。

健康志向スイーツの工場内製化とドリンク製造の一体化による新事業
地元素材を活用した健康志向スイーツを自社製造へ切替。生ソフトやドリンクと一体で提供する製造・販売体制を整え、安定した品質と利益率の改善を実現します。

フードロス削減につながる冷凍スイーツの開発・製造・販売
従来の冷蔵半製品から冷凍設備を導入し、保存性と品質安定を両立。自社栽培いちごを活用した冷凍スイーツ等の製造・販売で、ロス削減と収益化を図ります。

食品包装用・環境対応型フィルム加工体制の整備による供給力強化
食品包装資材における環境対応型フィルムの需要増に対応。スリット・ラミネート設備の増強で生産能力を拡大し、地域サプライチェーンの強靭化に寄与します。

老舗酒販の冷凍調理食品製造事業への新分野展開
創業70年の酒販が地域食材を活かした冷凍調理食品の製造に進出。急速冷凍・真空包装・殺菌設備の導入で品質を担保し、新販路を獲得します。

豆腐・豆乳プリン等の缶詰製造体制を整備し国内外市場へ展開
本社工場の一角に蒸煮殺菌釜・充填機等を導入し、豆腐・豆乳プリンの缶詰製造ラインを新設。保存性と物流適性を高め、全国・海外への展開を図ります。

3PL対応の業務用食品保管・加工機能を備えたアセット型物流事業
地元卸向けに冷蔵・冷凍保管と簡易加工を提供するアセット型3PLを構築。食品の保管・仕分・出荷機能を内製化し、サプライチェーンの効率化を実現します。

食肉副産物の高付加価値加工(コラーゲン含有食品)による新事業
精肉工程で廃棄される副産物を活用し、コラーゲン含有の加工食品を開発・製造。栄養価と機能性を訴求し、新たな収益源を確立します。

 

ものづくり補助金(正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

目的

ものづくり補助金は、中小企業等が行う革新的な製品・サービスの開発や、それに伴う設備投資を支援する制度です。
従来の事業を発展させるための高付加価値な生産設備の導入や、新たな製造工程への挑戦などに活用されています。

一見すると、製造業のみが対象となるのでは?と考える事業者の方もいらっしゃいますが、実はアプリ開発においても補助対象となります。

補助率・補助上限

  • 補助率:1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)

  • 補助上限額:最大3,000万円~最大4,000万円

補助対象となる経費

補助対象経費
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

ものづくり補助金におけるアプリ開発の補助対象経費には、「機械装置・システム構築費(必須)」が中心となり、アプリの開発委託費やサーバー等のIT機器購入費が該当します。
さらに、クラウドサービス利用費(AWS等)、外注費、専門家経費、UI/UX設計支援、知的財産権取得費、技術導入費なども対象です。
これらは新事業進出補助金と補助対象が重複する部分が多いです。

採択事例

各項目をタップすると詳細(都道府県・事業者名)が表示されます。

全国の飲食店を救う!十勝いけだ発「高付加価値冷凍仕出し料理FC化事業」

食材の最も美味しい時を瞬間冷凍!レンジで簡単カップピザの開発

自社産羊肉を小売販売するための食肉加工機器の導入

九州初!弁当・惣菜工場でのセル生産導入で業界を牽引し、BtoB事業初進出で地域貢献する事業。

コーティング機導入による黒糖ナッツ菓子の新商品開発

在宅勤務を支える食品用包装フィルムの高品質および生産効率向上体制の構築

省力化投資補助金(一般型)の概要

「省力化補助金(正式名称:中小企業省力化投資補助事業)」は、人手不足が深刻化する中小企業に対して、省力化・自動化のための設備導入を支援する制度です。
カタログ型と一般型に分かれており、特に一般型は自由度が高く、設備投資によって業務の効率化や生産性向上を図る事業者に向いています

主な概要は下記の通り。

必須対象:機械装置・システム構築費(単価50万円以上)

  • 生産ラインの自動化ロボット
  • IoT連携の加工機械
  • AI画像検査装置
  • 無人搬送システム など

オーダーメイド設備として、外部SIer(システムインテグレータ)と連携した専用設計も対象です。

その他対象経費

  • 運搬費、技術導入費、知的財産権関連経費
  • 外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費

補助率・補助上限額(従業員数に応じて変動)

補助率:中小企業は原則 1/2、小規模事業者は 2/3(特例で最大2/3)

(いずれも1,500万円を超える部分は1/3)

補助上限額例:

  • 従業員5人以下:最大750万円(特例1,000万円)
  • 従業員6~20人:最大1,500万円(特例2,000万円)
  • 従業員21~50人:最大3,000万円(特例4,000万円)
  • 従業員51~100人:最大5,000万円(特例6,500万円)
  • 従業員101人以上:最大8,000万円(特例1億円)

注意点として、建物本体や汎用パソコン、車両費などは対象外です。また、導入設備が補助金の趣旨(省力化・自動化)に合致しているかが厳しくチェックされます。

細かい補助対象経費については「中小企業省力化投資補助金の補助対象経費を徹底解説|対象経費一覧と注意点」で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業省力化投資補助金関連リンク

 

食品工場関連の採択事例(全国から6件)

1
事業計画名

全国の飲食店を救う!十勝いけだ発「高付加価値冷凍仕出し料理FC化事業」

2
事業計画名

食材の最も美味しい時を瞬間冷凍!レンジで簡単カップピザの開発

3
事業計画名

自社産羊肉を小売販売するための食肉加工機器の導入

4
事業計画名

九州初!弁当・惣菜工場でのセル生産導入で業界を牽引し、BtoB事業初進出で地域貢献する事業。

5
事業計画名

コーティング機導入による黒糖ナッツ菓子の新商品開発

6
事業計画名

在宅勤務を支える食品用包装フィルムの高品質および生産効率向上体制の構築

 

食品工場での補助金申請は専門家に任せるべき理由

結論(要点3つ)

  • 制度選定と要件解釈が難しく、自己流だと不採択リスクが高い
  • 食品工場特有の建物費・衛生基準(HACCP等)・工程設計の整合が必要
  • 審査で重視される付加価値・賃上げ・収益計画の数字整合をプロが論理構築できる

新事業進出補助金・省力化投資補助金・ものづくり補助金など、食品工場が使える制度は複数あります。
しかし制度ごとの対象・評価観点・書類様式は大きく異なり、同じ投資でも
「どの補助金で、どの費目に、どうロジック立てて書くか」で採択率が大きく変わります。

① 対象判定の難易度

建物費・機械装置・システム構築費・外注費などの対象/対象外の線引きは制度ごとに異なります。
食品工場では増改築・クリーンルーム・冷凍冷蔵・動線改善など、設備と建物が一体で語られるため、費目設計の巧拙が採択と精算の両面で重要です。

② 衛生・法規要件との整合

HACCP対応・ゾーニング・交差汚染防止・トレーサビリティ等を事業計画に落とし込むには、工程・レイアウト・設備仕様の整合が必要。
“なぜその投資が必要で、どのKPIが改善するのか”を審査目線で説明する力が問われます。

③ 数字で語る採択ロジック

付加価値額・生産性・賃上げ・歩留まり・エネルギー効率などの指標を整合的に設計。

よくある失敗パターン

  • 制度の趣旨(例:省力化・賃上げ・新市場)と投資内容の因果が弱い
  • 建物・設備・ITの費目の切り分けが不適切で、審査や精算で詰まる
  • 工程・衛生・品質KPI改善のストーリーがつながっていない
  • 数字根拠(需要・原価・能力・要員)がバラバラで説得力に欠ける
  • スケジュールと調達が甘く、実行可能性の評価を下げてしまう

駒田会計事務所に任せるメリット

  • 制度選定:新事業進出補助金/省力化投資補助金/ものづくり補助金の最適マッチング
  • 費目・スコープ設計:建物費・設備費・IT費を採択・精算を見据えて設計
  • 事業計画作成:付加価値・賃上げ・生産性KPIで審査が読みやすいロジック化
  • 資金繰り連携:金融機関と連携し、自己資金・つなぎ資金を含む最適化を支援

よくある質問

新事業進出補助金・省力化投資補助金・ものづくり補助金、どれを選べばいい?
投資の目的(新市場参入/省人化・自動化/製品・工程の高度化)と費目構成(建物・設備・IT・外注)、
そしてKPI(付加価値・賃上げ・生産性)との因果関係で選定します。駒田会計事務所が
事業計画と証憑の観点から最適な制度を設計します。
建物費はどこまで対象になりますか?
制度ごとに範囲や要件が異なります。食品工場では増改築・ゾーニング・衛生対応
投資の肝になるため、費目の切り分けと根拠整理が重要です。個別案件ごとに確認のうえ設計します。
申請後もサポートしてもらえますか?
はい。採択後の実績報告・変更申請・証憑整理・精算まで伴走します。
途中の要件変更や工期調整が必要になった場合も、適切な手続きを支援します。

まとめ文章(提案)

今回は、食品工場が活用できる主要な補助金制度と、その特徴や申請時の注意点についてまとめてきました。ポイントは下記の通りです。

  • 食品工場は人手不足・設備老朽化・エネルギーコスト高騰など、複数の課題に直面している

  • 新事業進出補助金では建物費まで対象となり、大規模な事業転換にも活用可能

  • ものづくり補助金は新製品開発や製造工程改善に強みがある

  • 省力化投資補助金は自動化・省人化設備導入に特化しており、人手不足対策に直結する

  • 補助金の採択率を高めるには、事業計画の精緻化と専門家によるサポートが有効

食品工場にとって補助金は、単なる資金調達の手段ではなく、将来の競争力強化に直結する大きなチャンスです。複雑な申請手続きを自己流で進めてしまうと、不採択や修正対応に追われるリスクも高まります。

駒田会計事務所では、食品工場の現場事情に寄り添いながら、制度選定から採択後のフォローまで一貫してサポートしています。補助金を活用して生産性向上や新事業展開を実現したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まずは無料相談から始めてみませんか?

「自分の事業が補助対象になるか分からない」「どのように申請すればいいか不安」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
駒田会計事務所では、初回無料相談を通じて、事業内容やビジョンに合った補助金の活用方法をご提案しています。

✅ 駒田会計事務所では、補助金申請のご相談を全国対応で承っております (監修:公認会計士 駒田裕次郎|プロフィールを見る
  • 採択実績300件以上:ものづくり補助金・事業再構築補助金等
  • 「新事業進出補助金」にもいち早く対応し、各業種で申請支援中
  • 公認会計士が直接対応:制度に詳しい専門家が丁寧にサポート
  • オンライン完結・地方対応OK:全国どこからでも相談可能です

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