中小企業や個人事業主にとって、補助金や助成金は経済的な支援となり、新たな事業の立ち上げや設備投資、人材育成の際に大きな力となります。
しかし、補助金や助成金には「返済義務があるのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃいます。
そこで、今回は補助金と助成金の特徴や返済義務の有無について詳しく解説します。
補助金とは?
補助金は、主に企業や自治体、個人事業主が何らかの目的を達成するために提供される資金援助のことです。
補助金にはさまざまな種類があり、新規事業の支援や設備投資、環境対策など特定の目的に応じて支給されます。
日本政府や地方自治体、さらには経済産業省などが提供する補助金が多く存在します。
補助金の特徴や具体的な補助金例について解説していきます。
補助金の特徴
補助金の主な特徴は下記の通り
用途が限定されている
補助金は基本的に特定の目的にのみ使用することが義務付けられています。
例えば、省力化のための設備導入や新規事業のための設備投資、販路開拓のための投資など必要な費用に対して一定割合で補助するといったものです。。
審査が必要
補助金は申請者がその目的に合った活動をしているかを審査され、一定の条件を満たさないと受給できません。
金額が比較的大きい
助成金に比べ、補助金は受給金額が大きく、事業規模に応じた支援が行われることが一般的です。
具体的な補助金例
代表的な補助金としては下記が挙げられます。
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、省力化や生産性向上に資する機器やシステムの導入を支援するための補助金です。
飲食業や製造業、小売業など幅広い業種が対象で、例えば「自動倉庫システム」や「清掃ロボット」など、省力化に貢献する設備の導入費用が補助されます。
令和8年末まで公募される見込みで、最も注目すべき補助金です。
ものづくり補助金
製造業やサービス業における新たな製品・サービスの開発や、生産性向上に向けた設備投資を支援する補助金です。
革新的な技術開発や製品化のための設備、ITツールの導入費用などに対して補助が行われ、事業の拡大や強化を図る中小企業が対象となります。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者を対象に、ITツールを活用して業務効率化や売上向上を図るための補助金です。
POSシステムや在庫管理システム、顧客管理システムなど、ITツールの導入費用が補助され、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一助となります。
事業再構築補助金
新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業が事業の再構築や新規事業の立ち上げを図る際に支援する補助金です。
業態転換や新しいビジネスモデルの導入、新製品開発に対する投資費用などが補助対象となり、ポストコロナ時代の成長支援を目的としています。
現在は今後の公募が不透明となっており、次回はない可能性もあります。
助成金とは?
助成金も補助金と同様に、事業の支援を目的とした資金援助ですが、より特定の目的に特化しています。
例えば、雇用創出や人材育成、働き方改革などの分野で多く見られます。
厚生労働省が提供するものが多く、従業員の教育や職場環境の改善、障がい者雇用促進などに利用されています。
助成金の特徴
助成金の特徴としては主に下記があげられます。
受給しやすい
助成金は要件を満たしていれば受給できる場合が多く、審査が補助金に比べて簡単です。
補助金よりも金額が少ない
助成金は金額が比較的小さく、プロジェクト単位での資金提供が多くなっています。
期限が設けられることが多い
助成金には期限が設けられていることが多く、プロジェクト期間内に使用しなければならない場合があります。
具体的な助成金の例
キャリアアップ助成金
非正規雇用者(パート、アルバイト、契約社員など)のキャリアアップを図るために、正社員化や処遇改善の取り組みを行う企業に対して支給される助成金です。
正社員化コースや賃金規定の改定、教育訓練の実施など、具体的な取り組みに応じて支援金が支給され、働き方改革を推進しています。
人材開発支援助成金
社員のスキルアップや資格取得、教育訓練を行う企業を支援する助成金です。
従業員の職業能力の向上を目的とし、社内研修や外部講習への参加費、受講料などが助成対象となります。
これにより、企業の生産性向上や従業員の成長支援を促進しています。
両立支援助成金(育児・介護休業支援コース)
育児や介護をしながら働く社員が、仕事と家庭を両立できるように支援する企業に対する助成金です。
育児休業や介護休業の取得支援、職場復帰支援制度の整備に対して助成が行われ、特に中小企業が対象となります。
育児や介護の両立支援を進めることで、従業員の離職防止や働きやすい職場環境の整備に役立ちます。
補助金や助成金に返済義務は原則ない
一般的に補助金や助成金には、返済義務はありません。
補助金や助成金の返済義務がない主な理由は下記の2つ
- 公共の利益のための支援:補助金や助成金は、地域経済の活性化や雇用創出、環境保護といった公共の利益に貢献することを目的としているため、返済を義務づけないことで利用者の負担を軽減しています。
- プロジェクトのリスクを軽減:企業や個人事業主が新しい事業に挑戦する際、リスクが伴います。返済義務を免除することで、そのリスクを軽減し、積極的な投資や事業拡大を促進しています。
ただし、いくつかの例外や条件も存在します。
返済義務が発生する場合
補助金や助成金に返済義務が発生するケースは主に下記の通り。
- 不正受給や不適切な使用:補助金や助成金を不正に受給した場合や、指定された用途以外に使用した場合、返済を求められる可能性があります。このような場合、支援の返還に加えて罰則が科される場合もあります。
- プロジェクトが未完了となった場合:補助金の場合、プロジェクトが途中で中止されたり、目的が達成できなかった場合、支援金の一部または全額の返還が求められることがあります。
- 補助金の条件が変更された場合:一部の補助金には、事業の進捗に応じて支給額が変動する仕組みがあり、途中で条件が変わると返済義務が生じることがあります。
特に注意すべき点は不正受給です。
近年補助金や助成金などの不正受給が相次いでいることから、下記の通り不正受給については厳罰に処する旨、記述されています。
・雇用調整助成金(不正受給関係) 不正受給及び自主申告について 厚生労働省
・10月31日更新 ※重要※ IT導入補助金は不正を絶対に許しません
補助金や助成金の不正受給は執行猶予なしの実刑になるケースも珍しくないので、必ず注意しましょう。
補助金や助成金は受給後の管理も必須
補助金や助成金には返済義務がないとされていますが、必ずしも安心できるわけではありません。
受給後の管理も必須とされているためです。
特に以下のような点に注意する必要があります。
- 実施報告が必要:補助金や助成金を受給した場合、その使途について実施報告を提出する義務があります。適切に使用したことを証明できないと、次回以降の申請が不利になる可能性があります。
- 監査のリスク:補助金や助成金の使用状況は監査の対象となることがあり、不適切な使い方が発覚すると返還を求められるリスクがあります。
- 申請時の手続きが煩雑:補助金や助成金の申請には多くの書類と手間がかかるため、計画的に準備を進める必要があります。手続きを怠ると、支給されなかったり、返還を求められる場合があります。
まとめ
今回は補助金と助成金の特徴や返済義務の有無について詳しく解説してきました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 補助金と助成金は経済的支援の手段であり、返済義務は原則なし
- 補助金は特定の用途に限定され、審査が厳しく、受給金額が比較的大きい
- 助成金は雇用や人材育成を目的とし、要件を満たせば受給しやすく、補助金に比べて金額が小さい
- 不正受給やプロジェクト未完了などの場合には返還義務が生じることも
- 受給後は実施報告や監査対応が必要で、適切な管理が求められる
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