宿泊業の方にとって、補助金の活用は必要不可欠です。
補助金を活用することで、数百万円~数千万円のコストを削減できる可能性があります。
しかし、「どの補助金を活用すればよいのか?」と悩まれる方も多いでしょう。そこで今回は、宿泊業開業におすすめの補助金3選を紹介します。
2025年宿泊業でおすすめの補助金3選
2025年に宿泊業の開業でおすすめの補助金は次の3つです。
- 新事業進出補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
具体的に解説していきます。
① 新事業進出補助金
新事業進出補助金とは人手不足や賃上げなどの経済環境の変化に対応し、中小企業が新しい市場や高付加価値事業へ進出する際に活用できる補助金です。
新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金となっています。
公募開始は2025年4月からとなっており、注目されている補助金です。
補助率は1/2で、補助額は最大9,000万円となっています。
補助額 | ||
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従業員数 | 補助金額 | 大幅賃上げ特例適応時 |
21人以下 | 750万円以上2,500万円以下 | 3,000万円 |
21~50人 | 750万円以上4,000万円以下 | 5,000万円 |
51~100人 | 750万円以上5,500万円以下 | 7,000万円 |
101人以上 | 750万円以上7,000万円以下 | 9,000万円 |
補助対象経費 |
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建物費、構築物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費 |
補助率・補助額が高く補助対象経費も幅広いです。
特に重要なのは、建物費が補助対象となる点です。
他の補助金では建物費は対象外となることが多いですが、新事業進出補助金は建物費を含む設備投資を幅広く支援します。
新しい市場に挑戦したいというときにおすすめの補助金といえるでしょう。
前身である事業再構築補助金の採択事例は下記の通り
インバウンド集客支援事業
内容: 宿泊施設の運営ノウハウを活かし、大阪のオーバーツーリズムを解消するためのインバウンド向け集客支援サービスを展開。古民家を改装した食体験型宿泊施設
内容: 淡路島の農園を活用し、地産地消の料理提供や茶道・華道などの日本伝統文化を学べる宿泊体験を提供。ホテル運営会社による地産地消の農産物加工事業
内容: 廃棄される野菜に付加価値をつけ、ジュースなどの加工食品を製造。宿泊施設での提供やEC販売を実施。温泉旅館からレストランへの転換
内容: 「泊食分離」のニーズに対応し、温泉旅館をレストラン主体の施設に改装。インバウンド向けの宿泊サービス強化
内容: 外国人観光客向けのサービスを充実させ、地域観光資源と連携した宿泊体験を提供。
② ものづくり補助金
ものづくり補助金は、革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を行う設備投資を支援する補助金です。
【概要】
- 対象:革新的な新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善を行う中小企業
- 補助金額:最大3,000万円
- 補助率:中小企業 1/2、小規模事業者 2/3
- 補助対象経費:機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、広告宣伝費 など
革新的なサービスなどでは宿泊業でも採択事例が多数あります。
代表的な採択事例は下記のような事例がありました。
マンスリー事業の自動対応化・省力化
内容: 自動システムを導入し、マンスリーマンションなどの宿泊業務の省力化を実現。インバウンド向けの宿泊事業強化
内容: 設備投資によるサービス向上を図り、外国人観光客をターゲットとした宿泊体験を提供。ロボット受付・受渡機の導入による宿泊業の省人化・24時間対応の実現
内容: 無人受付・受渡機を導入することで、宿泊施設のフロント業務を省力化し、24時間対応を可能にする。人手不足の解消とサービス向上を図る。宿泊施設のDX化による業務効率化
内容: 最新のデジタル技術を活用し、宿泊業務の自動化を進める。特に、チェックイン・チェックアウトの手続きを簡素化し、スタッフの負担を軽減。インバウンド対応の強化を目的とした宿泊施設の設備投資
内容: 訪日外国人観光客向けに、宿泊施設の設備を強化し、快適な滞在環境を提供する。多言語対応システムの導入や、スマートキーの活用を推進。
③ 中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面している中小企業がIoTやロボットなどの効果的な汎用製品を導入することで、企業の付加価値や生産性の向上を図ることを目的としています。
公募要領が公開されているため、詳しい内容は公募要領を確認しておくことをおすすめします。
製品カタログに掲載された製品を導入する企業に対して、下記の金額を補助します。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
---|---|---|---|
5人以下 | 1/2 | 200万円 | 300万円以下 |
6~20人以下 | 1/2 | 500万円 | 750万円以下 |
21人以上 | 1/2 | 1,000万円 | 1,500万円以下 |
中小企業省力化投資補助金は省力化技術や自動化技術に対する投資が対象とされており、宿泊業に使える機器も現時点で公開されています。
中小企業省力化投資補助金が宿泊業においておすすめできる補助金です。
理由は下記の5つ
- 小規模な事業者でも使いやすい補助金である
- 採択率が高いことが予想されている
- 採択率が高い傾向にある補助金としては補助上限金額も高め
- 民泊に係る機器の複数台の導入が可能
- 申請手続きがそこまで難しくないことが予想されている
難易度が高い補助金はそれだけ負担も大きい傾向にありますが、中小企業省力化投資補助金は採択社数は令和8年度9月末までで計12万件程度となっており、難易度が低めに設定されることが予想されています。
価格的にも難易度的にも宿泊業に最も適した補助金であると言えるでしょう。
宿泊業の市場規模は拡大傾向に
日本の宿泊業界は、近年市場規模の拡大が顕著です。
2023年度の旅館・ホテル市場は、事業者売上高ベースで約4.9兆円と推定され、これは新型コロナウイルス感染症の影響前である2019年度の水準に匹敵します。
この回復には、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加や宿泊料金の値上げが寄与しています。
特に、2024年4月の宿泊者数は前年同月比10.1%増の約5,190万人泊となり、そのうち外国人宿泊者数は同46.9%増の約1,450万人泊と大幅に増加しました。(旅館・ホテル市場、23年度は4.9兆円 帝国データバンク)
さらに、2024年度には市場規模が5兆円を超え、過去最高を更新する可能性も指摘されています。
このように、宿泊業界はインバウンド需要の回復や国内旅行需要の増加を背景に、市場規模を拡大しています。
補助金を活用して、より事業を拡大させていくというのは有力な手段の一つといえるでしょう。
まとめ
今回は2025年宿泊業の開業でおすすめできる補助金3つを解説しました。
ポイントをまとめると下記の通り。
- 新事業進出補助金:最大9,000万円の補助が受けられ、建物費を含む設備投資が可能。宿泊業開業において最もおすすめの補助金。
- ものづくり補助金:革新的な製品・サービス開発向けの補助金。宿泊業開業との相性は低いが、特定の用途(最新設備導入など)では活用可能。
- 中小企業省力化投資補助金:人手不足対策としてIoTやロボット技術の導入を支援する補助金。宿泊業においては、無人チェックインシステムや清掃ロボットの導入などが該当し、業務効率の向上やコスト削減に寄与します。
弊社では、今後公募が開始される予定である「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」についてもご相談をお受けしております。
弊社はこれまで、ものづくり補助金をはじめとして事業再構築補助金、中小企業省力化投資補助金のサポートも行っており、多数の採択実績があります。また、交付申請や事業化状況報告等の補助金申請後のご相談やサポートも承っております。お困りごとがございましたらお気軽にご連絡下さい。
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ものづくり補助金の申請代行サポートについては、こちらよりご相談ください。
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